ワクチンに対する誤解

ワクチンはこれまでもいろいろ誤解されてきた歴史があります。どのように誤解されてきたかを見ていきましょう。

 

 

誤解その1:インフルエンザワクチンの集団接種は効果がない。

 

(影響)前橋リポート(1987年)により、それまで小学校や中学校で行われていたインフルエンザワクチンの集団接種がなくなりました。

 

(実際)前橋リポートの時代は統計的なことが重視されていませんでした。現在ではこのリポートは統計的に不適切であることがわかっています。今であればどのような2流の医学雑誌にも掲載されないと思われます。最近はインフルエンザワクチンの集団接種は有効とする論文が大半を占めています。

 

(参照論文)

カナダ:ワクチンを打った小児がいると非接種者のインフルエンザ罹患が減る。

Loeb et al. JAMA. 2010; 303: 943-50

 

USA:デイケアセンターの子供にワクチンを接種すると家族での熱性疾患(発熱疾患)の発生が減る。

Hurwitzet al. JAMA. 2000;284:1677-82

 

モスクワ:幼稚園・小学校の児童にワクチン接種した集団では小児も高齢者もILI(インフルエンザ様疾患)の罹患が減る。

Ghendonet al. Epidemiol Infect. 2006;134:71-8

 

USA:小児に対する接種の結果、高齢者のインフルエンザでの入院が減る。

Cohen et al. J Am GeriatrSoc. 2011; 59: 327-32

 

 

誤解その2:MMRワクチン(麻疹・風疹・ムンプスの混合ワクチン)で自閉症が増える。

 

 (影響)Wakefieldの上記内容の論文(Wakefield et al. Lancet 1998)がLancetという超1流の医学雑誌に掲載された結果、ヨーロッパを中心に世界的な接種率の低下を招きました。その結果、麻疹を制圧しかかっていたヨーロッパの一部の国で麻疹が再び流行するようになりました。現在もその影響は残っています。

 

(実際)3つの関係を肯定する論文はありますが、25以上の関係を否定する論文があります。2004年にはWakefieldの論文の共著者12人中10人が論文の内容に問題があるとして論文を取り下げました(Lancet 2004; 363: 750)。2009年にはワクチン接種前に自閉症の症状が出ていたのにワクチン接種後に出たように事実を改ざんしていたことが判明し、論文自体の捏造が明らかとなりました。この結果、2010年にはWakefieldの論文はLancet紙上から抹消され、Wakefieldのイギリス医師免許は剥奪されました。Lancetでは現在もこのWakefieldの抹消された論文を抹消されたとわかるように判を押された状態で見ることができます。これは事実に反する論文を掲載してしまったことに対するLancet誌としての責任の取り方だと思います。超一流雑誌は責任の取り方も立派だと思いました。

 

 

誤解その3:添加物チメロサール(エチル水銀)で自閉症が増える。

 

(影響)2001年にBernardが上記の説を発表しました(Bernard S et al.Med Hypotheses. 2001; 56 :462-71.)。調査の結果ではなく、個人的な推測を発表しています。エチル水銀とメチル水銀は構造が似ている。メチル水銀(水俣病の原因物質)では水銀中毒が起こり、自閉症と同じような症状になる。チメロサールが使われるようになってから自閉症も増えている。だからチメロサールが自閉症の原因だ。という3段(4段)論法です。Wakefieldも途中からこの説に鞍替えしました。その結果、やはり世界中でワクチンの接種を拒む人が増え、排除できるはずの病気がいつまで経っても排除できない状況になりました。

 

 (実際)メチル水銀とエチル水銀はメチル基とエチル基の違いしかありませんが、生物学的な性質は全くことなっており、エチル水銀ではメチル水銀のように体内に残らないし、水銀中毒を起こすことはありません。またワクチンで使用されるエチル水銀の量を気にするのであれば、お魚を良く食べる日本人はより多くのエチル水銀(魚に含まれている)をとっていることになります。日本人で特別、自閉症が多い訳でないことからも関連がないことは明らかです。実際にチメロサール(エチル水銀)と自閉症の関連を否定する論文は多数存在しています。

 

(参照論文)

チメロサール含有ワクチンの接種が増えても、自閉症が増えない。

Hviid et al. JAMA. 2003;290:1763-1766

 

 

誤解その4:ワクチンでSIDS(乳児突然死症候群)が増える。

 

(影響)2011年のヒブワクチン・小児用肺炎球菌ワクチンの同時接種後死亡騒動2012年の日本脳炎ワクチン後死亡騒動など、日本ではいまだにワクチン後の死亡をすべてワクチンと結びつけて騒動になっています。

 

(実際)実際にはワクチンでSIDSは増えません。増えないという報告も多くありますが、減るという報告も多数あります。実際にも百日咳や肺炎球菌感染症では一晩で急変して亡くなることもあります。解剖したりして病因をしっかり調べない限りはSIDSとして扱われます。

 

(参照論文)

SIDSで亡くなった子供の日齢ごとのワクチンの接種率は、コントロール(元気にしている子供)と比べて低かった。

Vennemannet al.Vaccine 2007; 25: 336–340

 

(以下はタイトルのみ紹介) 

Hoffman HJ, Hunter JC, Damus K, Pakter J, Peterson DR, van Belle G, et al. Diphtheria-tetanus-pertussisimmunization and sudden infant death: results of the National Institute of Child Health and Human Development CooperativeEpidemiologicalStudy of Sudden Infant DeathSyndromerisk factors. Pediatrics 1987;79(4):598–611

 

Griffin MR, Ray WA, Livengood JR, Schaffner W. Risk of sudden infant deathsyndromeafterimmunization with the diphtheria-tetanus- pertussis vaccine. N Engl J Med 1988;319(10):618–23

 

Mitchell EA, Stewart AW, Clements M. Immunisation and the suddeninfant deathsyndrome. New Zealand CotDeathStudy Group. Arch Dis Child 1995;73(6):498–501.

 

Fleming PJ, Blair PS, Platt MW, Tripp J, Smith IJ, Golding J. The UK acceleratedimmunisation programme and suddenunexpecteddeath in infancy: case-controlstudy. BMJ 2001;322(7290):822. 

 

 

誤解その5:同時接種で副反応が増える。

 

(影響)これも2011年のヒブワクチン・小児用肺炎球菌ワクチンの同時接種後死亡騒動に関連しています。現在も同時接種で副反応が増えると思われている方が一般の方だけでなく医療者の中にも多数存在します。

 

(実際)同時接種で副反応が増えるという報告はありません。

 

(参照論文)

同時接種した場合も別々に接種した場合もトータルの有害事象(ワクチンが原因かどうか関係なくワクチンのあとに起こった望ましくない現象)は変わらない。

Leonardi et al. Pediatrics 2011;128: e1387-e1394

 

 

最後に

 

予防接種と突然死の因果関係を調べる調査が始まっています。

 

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乳幼児突然死で初の疫学調査=予防接種との因果関係―厚労省

 [時事通信社20121129

前略〜 調査は全国約600の病院などが協力。主に乳幼児突然死症候群(SIDS)で亡くなった乳幼児がいた場合、前後4週間以内で同月齢、同性別の健康な乳幼児2人の予防接種記録などを集める。2~3年後を目標に、突然死約300人と健康な約600人を比較し、因果関係の有無などについて結論をまとめる方針。

 SIDSは主に生後2~6カ月児の睡眠時に起こり、発症頻度はおよそ6千~7千人に1人。年間約150人が死亡する。

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 しかし、上記のようにすでに海外で同様の調査がされ、ワクチン接種によりむしろSIDS減るとの結果が出ています。この結果を伝えた上で、国内での再調査として行うのであれば意味のある調査かもしれませんが、海外の結果を伝えずに行うのはどうかと思います。ワクチンにこだわらず、SIDSにこだわらず、死亡原因を調査し収集する姿勢自体が必要です。日本は「死因不明社会(海堂尊)」です。 

 

 ちなみにSIDSは発症原因が確定しない死亡症例であrり、年間150人程度発生しています。そのためすべての子が生後2〜6か月に毎週ワクチンをすればその間のSIDSはすべて(年に150人程度)がワクチンとの関係を否定できない突然死ということになってしまいます。ワクチンに全く危険性がなかったとしてもです。このことからも明らかなようにワクチン接種後には相当数のSIDSが紛れ込むということをあらかじめ認識しておく必要があります。


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