予防接種:個人免疫と集団免疫

予防接種の効果を評価する際に個人免疫と集団免疫を理解することが必要です。

 

 1:個人免疫

 予防接種で免疫ができることで感染しても発症しません。もし発症しても症状が軽く済み重症化することを防ぎます。このように個人の発症や重症化を予防するのが個人免疫です。個人免疫を考えるとできるだけ早く予防接種を受けることが大切です。ただし問題点があります。ワクチンで免疫が十分つかない場合があることや、免疫不全という状態のためワクチンが打てない人がごく一部ですがいることです。さらに生まれたての赤ちゃんも時期がくるまでワクチン接種ができません。

 

2:集団免疫

 集団内に免疫をもつ人が多ければ病気自体が流行しにくくなります。これが集団免疫と呼ばれるもので、最大限に効果を発揮すれば、地球上からなくなってしまう病気もあります。実際に天然痘という死亡率30%もある病気はワクチンをしっかりと打っていくことで地球上からなくなりました。またムンプス(おたふくかぜ)もフィンランドではワクチンを高い接種率でしっかりと打ち続けて、1996年に自然に流行するウイルスが原因のムンプスを排除したと宣言しています。このようにして病気が流行らなくなれば予防接種しない人がいても、多くの人はその病気にかかりません。このことでワクチンを打ったけど十分免疫がつかなかった人や、打ちたいけれど免疫不全等で打てない方、ワクチンの接種時期前の赤ちゃんなどが病気から守られます。個人免疫での問題点を集団免疫で克服できるのです。


 「自分の子供はワクチンを打っていないけど病気にかかっていない。だからワクチンは必要ない。」といってワクチンを打たれない方がおられます。本当にそうでしょうか。例えば麻疹(はしか)は免疫が全くない集団(ワクチンが始まるまでの時代など)であれば一生のうちにほとんどの人がかかる病気でした。死亡率も高い病気なので1951年には日本でも麻疹だけで9000人以上(大半は子供)が亡くなっています。今はワクチンのおかげで免疫を持っている人が多いので、壁となって流行を食い止めます。流行しても一部の地域だけの流行で済むことが増えてきました。さらに流行が減ると感染する危険性も減るので、予防接種をしていない人であっても感染する危険性が減りました。死亡する方もごくわずかになりました。これが集団免疫の効果です。しかし、もし大勢が予防接種をしなくなればこの集団免疫がなくなってしまいますので病気が再び流行します。昔(ワクチン以前)と同じ状態に逆戻りしてしまうのです。そうならないためにもなるべく大勢がワクチンを受ける必要がります。


 このように予防接種を受けていない人も実際にはワクチンの恩恵、集団免疫の恩恵を受けているのですが、そうは言ってもワクチンを受けていない人は発症のリスクはワクチンを打った人よりも高いことには変わりありません。発症した場合も症状がひどいため、多くの人にうつす危険性があります。ワクチンを打たなかった本人だけでなく、自分を守ってくれていたワクチンを打っていた他人も危険にさらしてしまいます。ワクチンを打っても免疫が十分つかない人もいますから、その人たちの感染のリスクを上げます。ワクチンを打てない赤ちゃんや免疫不全の方の感染のリスクもあげます。感染のリスクが上がると重症化のリスク、死亡のリスクも上げてしまいます。つまりは恩をあだで返すことになってしまいますのです。このように見てみるとワクチンを打つのは自分のためでもあり、周りの人のためでもあります。

 

 集団免疫を高めるためには「できるだけ早く」、「できるだけ多くの人が」予防接種を受けることが大切です。

 

3:図の解説

 ワクチンを打った人(ワクチン接種群)と打っていない人(ワクチン非接種群)を比べると感染のリスクは同じであっても発症のリスクが変わります。これが個人免疫でワクチンの直接効果です。図ではわかりにくいですが、重症化を予防するので発症した場合でも後遺症を残したり、死亡したりする割合を減らす効果も個人免疫にはあります。

 一方、ワクチンが始まる前の時代(前ワクチン時代)と比べると、病気の流行自体が減ります。そうするとワクチンを打っていても打っていなくても感染するリスクが減ります。これがワクチンの間接効果であり、集団免疫と呼ばれるものです。

ワクチン非接種群から接種群に出ている矢印はワクチンを打っていない人が感染し、発症した場合にワクチンを打った人で免疫が十分につかなかった人に感染させる危険性を示しています。

 ワクチンの効果を評価する場合にはこの個人免疫(直接効果)と集団免疫(間接免疫)の両方を見る必要があります。

 

予防接種の効果
予防接種の効果


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