A:二峰性発熱の多さ
インフルエンザは自然経過では一旦下がった熱が下がった後、再び半日から1日程度発熱することがあります。これを二峰性発熱と言いますが、抗インフルエンザ薬を使用しないで自然に経過した場合は20%程度と言われています。タミフルやリレンザではこの二峰性発熱はほとんど認めませんが、イナビルでは二峰性発熱が10数%認められるとの学会報告がありました。もともと効果については懸念していたのでやっぱりというのが正直な感想です。たぶんイナビルで他の薬と同程度の効果を期待するなら2日後にもう1回吸入しないと二峰性発熱は減らないのではないでしょうか。保険の問題で実際にそんなことはできませんし、できたとしても医療費は他の薬剤を選択した時の2倍になります。
B:今回の欧米での治験
対象は発症後40時間以内のインフルエンザと確定された18歳から64歳までの639名の患者さんでランダムにイナビルとプラセボ(効果のないニセ薬)に分けて治療されました。影で割り振る担当者以外は患者さんも医療者もイナビルなのかプラセボなのかわからない状態で行われました。これは二重盲検法(Double Blind)という最も正確な試験方法です。比較も日本で行われたタミフルを比較にした治験と異なって、プラセボを使っていますので効果の有無もわかりやすくなっています。イナビルは40mg群と80mg群の2種類の量で行われましたが、インフルエンザ症状改善までの期間中央値は40mgで102.3時間、80mg群で103.2時間、プラセボ群では104.1時間であったとのことです。
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