インフルエンザ迅速検査の問題点

 実は状況によっては検査で陽性がでてもほとんどが間違いのことや、陰性であってもほとんどが間違いのことがあります。例えば周囲にインフルエンザの流行がなく、医師の見立てで1%くらいしかインフルエンザの可能性がない、つまりほぼインフルエンザが否定的なときに、患者さんの希望が強いからと(医師が勝手に思い込んですることもありますが)インフルエンザ迅速検査を行って陽性と出た場合は4人に1人はインフルエンザではありません。逆に典型的なインフルエンザ症状があって、医師が9割方インフルエンザと確信できる状況で迅速検査陰性であった場合、もちろん時間も検査の仕方も適切であった場合、5人に4人は実際にはインフルエンザです。なぜ?と思われる方も多いと思いますが、あらゆる検査は検査前確率(どの程度その病気の患者が混ざっているかという割合)と検査自体の感度(病気の人をどの程度の割合で正しく診断できるか)、特異度(病気でない人をどの程度の割合で正しく診断できるか)によって検査後確率(検査をした後のどの程度その病気の患者が混ざっているかという割合)が変わってくるのです。見立ての良い医師であれば検査前確率が十分低いとき(インフルエンザの可能性がまずないとき)や十分高いとき(インフルエンザの可能性が濃厚なとき)は検査をする方が誤診の可能性が高まります。医師の中にもインフルエンザ迅速検査キットを自販機で販売し、患者さんが勝手に検査して、陽性なら受診すれば良いという医師もいたりするのですが、検査結果の解釈が状況で変わるということを理解すれば、それがいかに危険なことかわかると思います。

 

 参照:インフルエンザ迅速検査の結果をどう判断するか

 

 医師は「検査技師+薬剤師」ではないのです。検査結果の適切な解釈、それ以前に適切な検査の利用が必要です。だれもかれも同じ処方ではなく患者さんの状況に合わせたメリハリのある処方が必要です。残念ながら「検査技師+薬剤師」となっているように思われる医師もいるようですが、そうなると医師の存在価値がなくなってしまいます。

 

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