このケースは医師がまずインフルエンザをほぼ否定的に考えてる状況です。ここでも直感的にわかりやすくするため、検査の対象を1万人の発熱患者とします。その上でインフルエンザに罹患していた場合としていなかった場合で検査結果がどのようにでるかを以下の表にまとめました。
検査に陰性の人で実際もインフルエンザに罹患していない人は先の発熱患者の1%がインフルエンザのときと同様で、9794人のうちの9790人になりますから99.96%となります。この場合の迅速検査陰性もほとんど正しいということになります。
一方、検査で陽性の人で実際にインフルエンザに罹患している人は206人のうちの6人ですから2.9%となります。つまりほとんどが正しくないことになります。検査で陽性とでても別の原因による発熱を強く考えなければなりません。検査自体に意味はなくやるだけ無駄な状況です。
もちろんインフルエンザが流行っていない時期に局所的に流行していることもあります。この場合、一人目の患者が受診した段階では医師はインフルエンザを積極的に疑わないと思いますので、本ケースのように迅速検査陽性は間違いだと判断する可能性もあります。しかし、局所的流行の場合であれば同じような症状の患者さんが複数存在するので、医師も徐々にインフルエンザの可能性が高いとわかってきます。そうなると医師の認識する検査前確率が上がっていくので検査結果が陽性の場合の判断の仕方が変わってきます。