Hib(ヒブ)ワクチンについて

図1:小児細菌性髄膜炎の原因菌
図1:小児細菌性髄膜炎の原因菌

Hibとはインフルエンザ桿菌b型のことです。インフルエンザウイルスと紛らわしいのですが、全く別の細菌でインフルエンザ自体とも特に関係はありません。しかしこの菌は小児において細菌性髄膜炎を始めとした重症感染症の原因となることがあります。小児の細菌性髄膜炎の原因菌の約60%を占めており、年間発症者数は600人と推計されています。Hib髄膜炎の予後は悪く、5%が死亡し、23%が難聴、硬膜下水腫、てんかんなどの後遺症を残します(図1)。

 

図2:Hibワクチン定期接種の国2009年
図2:Hibワクチン定期接種の国2009年

治療薬は抗生剤で行いますが、最近は抗生剤の使いすぎの影響もあり、薬の効きが悪いHibが増えてきています。感染しないことが重要となります。予防接種は大変有効であり、実際、多くの国ではこの予防接種をすべての子供に打つことでHib髄膜炎の発生を90100%の高確率で抑え込みました。図2にHibワクチンを子供たちみんなに打つ定期接種としている国を示します。

図3:日本より早くヒブワクチンを打っていた国々(水色)
図3:日本より早くヒブワクチンを打っていた国々(水色)

日本は予防接種に関しては残念ながら後進国であり、HibワクチンについてもWHOが全小児への接種を勧めているにも関わらず、図3に示すように最近まで接種もできませんでした。ちなみにHibワクチンについては1998年にはWHOは国の裕福に関係なく子供たちみんなに打つ予防接種として推奨を出しました。 図2にあるように貧しいと思われるアフリカ諸国も日本よりも先に定期接種化しています。

図4:年齢別のヒブ髄膜炎罹患数
図4:年齢別のヒブ髄膜炎罹患数

接種回数は年齢によって変わり、生後2か月から6か月までに開始の場合は合計4回(初め3回、1年後1回)、生後7か月から11か月までに開始の場合は合計3回(初め2回、1年後1回)、1歳以上(5歳未満)で開始の場合は1回の接種となります。一見、1歳を超えてからがお得そうですが、図4に示すように小さな子ほど発症しやすいため、十分な予防にはできるだけ早期から開始することが必要です。

またHibワクチンによってHibが原因となる肺炎や喉頭蓋炎(命に関わることがあります)などのその他の感染症も予防することができます。抗生剤に対して耐性の菌が増えており、治療に苦労するケースも出ていることからも事前にこれを予防できることは大きな利点と考えられます。

 

Hibワクチンの副反応としては注射部位の発赤、腫脹、硬結、疼痛などがありますが、他の予防接種と同じ程度です。ワクチンの製造過程でウシ成分が一部使用されていますが、世界で使用され始めてから20年以上、これによる問題は報告されていません。また、日本で使用されるものは世界の中で最も厳しい基準をクリアしたものです。

 

Hibワクチンは諸外国では三種混合との同時接種が大半です。日本でも同時接種は認められています。


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