2013年度以降に定期接種となったワクチン

ヒブワクチンの定期接種化は諸外国に15年ほど遅れていましたが、ようやくここまできました。

■ヒブ(Hib)ワクチン■
ヒブとはインフルエンザ桿菌b型のことです。インフルエンザウイルスと紛らわしいのですが、全く別の細菌でインフルエンザ自体とも特に関係はありません。しかしこの菌は小児において細菌性髄膜炎を始めとした重症感染症の原因となることがあります。小児の細菌性髄膜炎の原因菌の約60%を占めており、年間発症者数は600人と推計されています。ヒブ髄膜炎の予後は悪く、5%が死亡し、23%が難聴、硬膜下水腫、てんかんなどの後遺症を残します。

 治療薬は抗生剤で行いますが、最近は抗生剤の使いすぎの影響もあり、薬の効きが悪いヒブが増えてきています。感染しないことが重要となります。予防接種は大変有効であり、実際、多くの国ではこの予防接種をすべての子供に打つことでヒブ髄膜炎の発生を90~100%の高確率で抑え込みました。日本は予防接種に関しては残念ながら後進国であり、WHOが全小児への接種を勧めているにも関わらず、2008年末までは接種できませんでした。小さい子ほどかかりやすいのでできるだけ早く打つことが大事です。

 

ヒブワクチンについては別の案内もあります->

 

■小児用肺炎球菌ワクチン■
肺炎球菌はヒブについで多い細菌性髄膜炎の原因菌で、死亡率や後遺症を残す確率はヒブよりも高くなっています(ヒブワクチンの項目の最初の図を参照してください)。この菌による髄膜炎は、年間200人くらい発生しています。肺炎(12,000)や、重い中耳炎、菌血症や敗血症も起こします。ワクチンを打つことでこの菌が原因の感染症のリスクが78割減少します。この菌も治療薬である抗生剤の効きが悪い耐性菌が多いので予防接種でかかりにくくしておくことが大切です。WHOが全小児への接種を勧めているにも関わらず、最近(20102月)まで接種もできませんでした。

 

■ヒトパピローマウイルスワクチン(子宮頚癌ワクチン)■
現在、日本人では1年に2500人程がこの癌のために亡くなっています。発癌性ヒトパピローマウイルス(HPV)が原因で起るため、このウイルスの感染をワクチンで予防することで癌の発症を抑えることが可能です。女性の8割がこのウイルスに一生のうちに1度は感染すると言われています。ヒトパピローマウイルスは感染しても多くの方は自然と治るのですが、十分な免疫がつかないため、繰り返し感染する可能性があります。そして感染された方の一部が癌化することがわかっています。20代、30代の女性の癌では一番多い癌でもあり、そのため子供のうちに予防することが効果的です。諸外国では小学校高学年もしくは中学生の女の子全てを対象にワクチン接種が行われている国が増えています。WHOは全ての女の子に接種することを勧めていますが、やはり日本では実現されていません。50歳くらいまでの女性にも効果があります。ただしワクチンを受けても完全に予防はできないため20歳以降は定期的に子宮頚癌検診を受けることは必要です(ワクチンと検診を合わせることが最も効果的とされています)。

 

■みずぼうそう(水痘)■
体中に水疱ができます。症状を軽くする薬もありますが、みずぼうそうの後、数年から数十年して起こる可能性があるひどい痛みが特徴の帯状疱疹は薬では予防できません。免疫に問題のある方の場合は命に関わることがあります。これらの点で予防接種にメリットがあります。ときに予防接種をしてもみずぼうそうになることがありますが、軽くてすむことが多いです。WHOは以前から先進国ではみずぼうそうの予防接種のメリットが大きいとしており、予防接種を勧めていましたが、2014年10月にようやく定期接種となりました。

 

B型肝炎ワクチン定期接種国
B型肝炎ワクチン定期接種国

B型肝炎■

感染すると慢性化し、年をとってから肝癌を発症することがあります。これを予防するための元祖癌予防ワクチンです。日本ではこのウイルスを持っているお母さんから生まれた子供にだけ公的に接種されていますが、世界の大半の国では子どもたちすべてに接種されているワクチンです。日本では諸外国のようにうつりやすいウイルスが少ないとの理由で定期接種になっていませんでした。そのような中で保育園での集団感染が報告されています。また性行為でも感染します。小さい子ほど予防接種の免疫がつきやすいので諸外国では生まれてすぐから接種を始めます。計3回接種します。

WHOはこのワクチンを1992年にすべての国のすべての子どもに接種を勧める最優先ワクチンとしてリストアップしました。日本では2016年10月にようやく定期接種となりました。

 


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