1:予防接種について一般的なこと
いくつかの感染症は予防接種をすることで予防ができます。おたふくかぜやみずぼうそうなどの病気にかかっている人に病気をもらいにいくことはお勧めできません。予防接種で防げる病気は予防接種で済ませるほうがより安全だからです。一部の方は予防接種をしても免疫が充分つかずに感染することもありえますが、この場合も症状の軽症化が期待できます。
2:市町村から案内のある予防接種(定期接種、期間内は原則無料)
四種混合(百日咳、ジフテリア、破傷風、ポリオ)、BCG(結核のワクチン)、麻疹風疹混合ワクチン、日本脳炎ワクチン(自然に感染した場合では1/100~1/1000の確率で発症します。発症率は高くありませんが、発症した場合は死亡率も高く、後遺症も残しやすい病気です。世界的にも類似ウイルスの脳炎が発生していることや、国内での感染のリスクを考えると、接種する方が良いと思われます。)。どれも大切なワクチンです。
3:2013年度以降に定期接種化された予防接種
2013年4月から定期接種化
ヒブ(ヒブは予後の悪い細菌性髄膜炎の最大の原因菌です。)、小児用肺炎球菌ワクチン(肺炎球菌は予後の悪い細菌性髄膜炎、治療にてこずりやすい肺炎や中耳炎の原因になりやすい菌です。)、子宮頚癌ワクチン(ヒトパピローマウイルスワクチン:HPVワクチンが本来の名前です。このワクチンは対象のHPV感染を予防します。その結果、子宮頚癌の減少が期待されます。小学校高学年から中学生での接種が効果的です。)。
2014年10月から定期接種化
みずぼうそう(自然感染では将来的に帯状疱疹を起こすリスクがあります。まれですが、子どもの脳卒中の原因にもなることが知られています。また生まれたての子や免疫の低下した人が感染すると命に関わることもあります。)
4:接種可能で受けた方がよい予防接種(任意接種、行政からの補助がないためいまだに有料)
おたふくかぜ(自然感染では1000人に1人くらいの割合で難聴が起こります。片側のみのことが多いのですが、回復困難で、生活に大きな支障が生じます。日本では毎年500-600人の聴力が失われているそうです。まれに両側難聴もあります。髄膜炎など他の合併症も起こしやすく、入院が必要になることも多い病気です。自然に感染しても2度3度かかることもあることがわかってきました。)、B型肝炎(感染すると慢性化し、年をとってから肝癌を発症することがあります。これを予防するための元祖癌予防ワクチンです。日本でも保育園での集団感染が報告されています。また性行為でも感染します。小さい子ほど予防接種の免疫がつきやすいので諸外国では生まれてすぐから接種を始めます。計3回接種。)、ロタ(腸炎を起こします。乳幼児で流行しやすく入院率も高く、重症の腸炎や脳症を起こすことがあります。計2回接種で腸炎自体が80%減少、入院が必要な重症患者も90%減少。)、インフルエンザ(小児では稀に脳症などの合併症を起こすことがあります。毎年の接種が必要です。)などがあります。おたふくかぜは免疫を十分につけるため諸外国と同じように数年あけて2回接種することをお勧めします。
5:その他
海外では病気の予防を社会的な問題として考えており、ここにあげた予防接種はすべて積極的に行われています。これら以外にも接種可能なワクチンとして成人用百日咳ワクチン、帯状疱疹ワクチン(これは水痘ワクチンを水痘にかかったことのある高齢者に帯状疱疹という合併症が出るのを予防するために打つものです)などがあります。また混合ワクチンも進んでいて少ない本数で多くの予防接種を行うことが可能になっています。集団全体に免疫があると病気で予防接種を打てない人も守ることができるため、学校入学時に接種証明が必要な国もあります。残念なことでありますが、日本は予防接種についてはまだまだ後進国です。
子ども手当を任意接種のワクチン費用に利用していただくことをお勧めします。また、おじいちゃんやおばあちゃんに服やおもちゃのプレゼントと同じような形でワクチン(=健康)をプレゼントしてもらうことも良いかもしれません。この場合は感謝を込めて母子手帳のワクチンの記載欄におじいちゃん・おばあちゃんからのプレゼントであることを記載しましょう。(ちなみに高齢者では2類定期接種としてインフルエンザワクチンと成人用肺炎球菌ワクチンが接種可能です。条件は別途確認して下さい。)
6:予防接種に関するお勧めサイト
KNOW VPD!(http://www.know-vpd.jp/) 携帯からはhttp://www.know-vpd.jp/m
このサイトの「予防接種について(詳細)」にももう少し詳しく書いていますのでご覧ください。
7: 予防接種のあとは
予防接種後、30分は接種した医療機関に残っていただくか、もしくはすぐに受診できる状態にして下さい(各医療機関で要確認)。この時間帯は非常に稀ですが、予防接種によるアレルギー反応が出やすいので注意が必要です。顔色が悪くなる、発疹がでる、ゼイゼイ言い出すなど体調不良の症状が出現することがあります。この場合は早期の診療診察が必要となります。また、接種した部位をもむ必要はありません。軽く抑える程度で十分です。日常生活は普通に行って頂いてかまいません。お風呂もいつもどおり入っていただいてかまいません。ただし必要以上に接種した部位を強く擦らないで下さい。