吐き気や嘔吐について

1:なぜ起こるのですか?

 胃の内容物(食べたもの、飲んだもの、唾液、胃液)は通常であれば胃から規則正しく腸に送り出されています。しかし、何らかの原因でこの送り出す能力が低下すると胃の内容物の行き場がなくなるため吐き気が生じ、ひどいと嘔吐してしまいます。ウイルスや細菌(いわゆるバイキン)が原因の感染性胃腸炎や毒性のあるものを食べた場合に吐き気が生じるのは体に良くないもの(病原体や毒性のあるもの)を体から取り除こうとする防御反応なのです。

 

2:どうすれば良いですか?

嘔吐の際に保護者の方がもっとも心配されることが脱水の危険性です。そのため嘔吐のあと時間をおかずに水分を取らせようとする方がいます。また子供の中にもお腹の調子に関係なく、いつもと同じだけの水分や食事を取ろうとする子供もいます。しかし、このことは吐くことによって楽になろうとしている体にとっては逆効果です。吐き気がある程度落ち着かなければ水分を取ることで症状が悪化する危険性があります。水分が取れない状態が続けば脱水の危険性が高まりますが、数回の嘔吐ですぐに脱水になるわけではありませんから、お腹の症状が落ち着くのを待って水分を取らせる方が体には良いのです。このときの水分ですが水やお茶よりはイオン飲料の方が良いでしょう。さらに小さい子供であれば乳幼児用のイオン飲料の方が適しています。症状が強い場合は経口補水液(ORS)が最適です。このORSは塩分・糖分バランスに優れ、水分の吸収も非常に速やかです。水の25倍ほど、一般的イオン飲料の5倍ほどの吸収効率があります。そのため胃腸に残りにくく、吐き気があるときでも少量ずつの摂取であれば水分を補給することが可能です。代表的な製品としてはOS-1、アクアライトORSがあります(多くの病院の売店や自販機、一部の薬局、大手スーパー、大手ドラッグストアーで手に入ります)。これらを少量頻回に与えます。症状が強ければひとさじ程度の量を数分おきに、少し改善すれば一口程度、次は二口程度と徐々に増やしていくと良いでしょう。その分、間隔をあけていきます。

 

ORSは一般的なイオン飲料よりも甘味が少なく、塩気があるので嫌がる子もいるようです。このようなケースでは一度に飲ませている量が多い傾向があります。本来の「少しずつ」飲ませる方法であれば味はわかりにくく、飲める子も増えます。水(湯冷ましなど)1ℓに砂糖40g(大さじ4と1/2杯)、塩3g(小さじ1/2杯)を溶かし、グレープフルーツなどの果汁を加えることによりORSを作ることもできます。ただし味は市販品より落ちるかもしれません。

 

こまめに飲ませるのは大変ですが、うまくいくと点滴をする確率が5分の1(場合によっては10分の1)くらいまで減ります。医療機関に受診しなくても治る可能性も高まります。とても効果的な治療なのでまずは試してみましょう。

 

3:どのようなときに受診すべきでしょうか?

上で述べた努力をした後も吐き続けるとき。ぐったりしてくるとき。おしっこの量が極端に少ないとき。唇や口腔の乾燥が強い場合。このようなときは他の病気がないかを診る必要がありますし、点滴も必要かもしれません。


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