1:手洗いとうがい
風邪の予防には手洗いが最も有効です。手に付着した病原体(ウイルスや細菌)を取り除きます。帰宅時や食事前などの節目に行うと効果的でしょう。手洗いは石鹸を使用するのが効果的です。指(特に親指)やその付け根、手首が洗い残しやすい部分ですから注意しながら洗ってください。一に手洗い、二に手洗いです。
うがいの効果はそれほど高いものではありませんが、行うのであれば水で行うのが効果的です。うがいの効果を調べる研究の結果では水うがいは風邪を40%予防できましたが、イソジンうがいはほとんど効果がありませんでした(下を参照)。なぜでしょうか。口や鼻、腸にはもともと善玉菌が多数生息しています。悪玉菌も普段からほんの少し生息していますが、善玉菌が元気なので悪さができないようバランスが取られています。イソジンは悪玉菌が悪さをしているときには効果的ですが、善玉菌にも影響を及ぼし、このバランスを崩してしまいます。また喉の粘膜もわずかですが傷めるため、悪玉菌が悪さをしやすい環境になります。以上の理由でプラスの効果とマイナスの効果が合わさり、うがいをしないときと結果が変わらなかったと考えられています。
2:加湿
空気が乾燥すると喉や鼻の粘膜が傷みやすくなります。粘膜が傷むとそこから病原体が体内に侵入し、感染が起こります。これを防ぐために特に冬場は空気の乾燥には気をつけ、湿度60~70%に保つよう必要に応じて加湿器なども使いましょう。
3:咳エチケットとマスク
咳でウイルスなどの病原体は何mも飛んでいき、他の人にうつります。そのため人に向かって咳をしないという咳エチケットが大事です。咳のとき口元を手で押さえるのではなく、ティッシュやハンカチ、もしくは肘から上の腕で覆うなどします。マスクをするのも咳エチケットの一つです。一方、自分が咳をしていなくてもマスクにはインフルエンザ流行期の込み合った場所や風邪の集まる病院内では他の人から病気をもらわないようにする効果もあります。自分の呼吸によって適度な加湿効果もあり、これも風邪予防に効果的です。使用中および使用後のマスクを触ったあとは病原体が手についている可能性があるため手洗いをする必要がありますので注意しましょう。
4:予防接種
いくつかの感染症は予防接種をすることで予防ができます。予防に勝るものはありません。予防接種をしても免疫が充分つかずに感染することもありえますが、この場合も症状の軽症化が期待できます。ただし残念なことに日本は予防接種では後進国なので他の国では無料のものが有料であったり、打てなかったりします。
予防接種に関するお勧めサイト:KNOW VPD!(http://www.know-vpd.jp/)
5:参考
2005年に発表された里村医師のうがいの効果を調べる研究の結果のグラフが右です。横軸が観察を始めてからの経過日数です。縦軸が観察期間中に一度でも風邪をひいた人の割合です。右側で上の実線が何もしない人、真ん中の点線がイソジンうがいをしている人、下の濃い線が水うがいをしている人になります。うがいは一日に最低3回は行うことになっています。一度でも風邪をひくと数に数えられるため、日数が経つと、どのグループも風邪をひいた人の割合が増えていきます。グループ同士の差に意味があるのかどうかを統計というもので調べるとイソジンうがいは何もしない場合と比べて差がないこと、水うがいは何もしない場合と比べて差があり、風邪を40%予防するという結果が出ています。